2010年1月24日日曜日

2010年Tax Season:リタイアメントファンドから引き出す時の注意

明けましておめでとうございます。

一昨年の秋のリーマンショック(と日本では呼ばれているんですねぇ)から一年以上経ちましたが、失業率は一時回復?かと思われましたが、またじりじりと上がっています。 ネバダ州、カリフォルニア州、フロリダ州では、失業率10%を超えています。 ここテキサスでも8%を超えました。

顧客の中には、失業された方も多いです。 こういうときにこそ、H&R BlockのRapid Refund(リファンドを当てにした短期ローン)で家賃、車の支払いを乗り切る方も多いのですが、銀行側のクレジット、つまり貸し出し条件がかなりきつくなっており、前年のように、許可されていた方が、拒否される、というケースも増えてきました。 

もし、会社で401(k)などのリタイアメントファンドに入って、万が一、失業されたり、会社をかわられた場合には、要注意です。

もう、この会社には未練はない! 貯めていたリタイアファンドも出して、借金返済に使おう、と思われる方も多いでしょう。 しかし、もし、あなたが55歳と6ヶ月以下であれば、要注意です!!

引き出したリタイアメントファンドは、まず、20%の源泉徴収があります。 その上、Tax Filingの際には、10%のペナルティーを支払うことになります。

たとえば、Aさんは、30歳。 勤めていた会社に$10,000のリタイアメントファンドがありました。 しかし、会社の業績が悪く、10月にLay offとなってしまいました。 このお金で、旅行でもしようか、と考え、$10,000すべてを引き出してしまいました。 しかし、受け取った金額は、$10,000ではなく、$8,000でした。 「あれ?変だなぁ、税金が$2,000も、とられている。」とは思ったものの、暖かい南国でのバケーションにうつつを抜かして、日焼けして帰ってきました。 

翌年の2月にW-2とForm 1099-Rというリタイアメントファンドを引き出したという書類を持ってH&R Blockを訪れました。 「今年もリファンドがあるだろうから、それで、iphoneを買おう。」と思っていたAさん。 しかし、Aさんは、55歳半以下であったので、リタイアメントのEarly Distribution Penaltyを逃れることができませんでした。 ペナルティーが$1,000も発生してしまい、リファンドどころか、IRSへのTax Due、つまり追徴課税となってしまったのです。 Aさんの顔はショックで凍っていました。

401(k)Rothというのも今はありますが、大多数が通常の401(k)*です。 これは、給料から差し引かれて、課税されません。 しかし、引き出す時に課税されます。 これをTax Deferredといいます。 (*401(k)というのは、IRS Code(税制)の番号で、401条のk項ということです。)

お給料から天引きされて、そのお金がリタイアメントファンドの中で、税金がかからず、育っていきます。 しかし、IRSは引き出すときに課税します。 リタイアしたときには、年収も下がっているだろう、とうことで、税率も壮年期のピークのときよりは低くなっているので、結果的には大丈夫であろう、という考えでもありました。

近年では、Roth IRAが出来、ファンドに入れるときの免税はないが、引き出す時には、課税されない、というものです。 


では、どうしたらAさんのような事態を避けることができるのでしょうか?

まずは、会社と確認。 勤務年数によっては、リタイアメントファンドをくれない場合があります。 または、据え置き期間があるものもあります。 または、辞めたあとにも、同じファンドのマネージメント会社が管理してくれるときもあります。 

もし、そのリタイアメントファンドがあなたのものとなる、と確認したあとは、Custody to Custody Transferをアレンジします。 Custody-to-Custody Transferとは、ファンドマネージメント会社間でのファンドの移動のことです。 

たとえば、Merrill Lynchが辞めた会社の401(k)をマネージしていました。 これを、自分がアカウントを持っているFidelity に移す、ということです。 もし、そういった投資会社でのアカウントを持っていない場合は、オンライン上でも、信頼できるファイナンシャルアドバイザーに頼んでも、まず、IRAアカウントを作ることができます。

多くの場合は、新しいマネジメント会社がトランスファーをやってくれるはずです。 これをRoll-overといいます。

Roll Overには、通常のTax deferralの401(k)からTraditional IRAに移すのと、Roth IRAに移すものとがあります。 Traditional IRAは401(k)と同じく、Tax Deferralですから、そのまますんなりと行きます。 しかし、401(k)からRoth IRAにRoll-Overする際には、Tax Deferralの401(k)から、ファンドにいれるときには、免税措置にならないRoth IRAに移動するため、そこでは、税金がかかります。 

株価は最近持ち直してきていますが、まだ価値が下がっている場合は、このRoll overの際には、税金が安くなります。 価値が下がっていますので。

あとは、2010年より、401(k)などのTax DeferralのRetirement FundからRoth IRAへのRoll-overには、年収制限がなくなりました。 昨年までは、年収(と仮にここでは呼びます)が$100,000を超える人はそれは出来ませんでした。 しかし、2010年においてはそれが出来るようになりました。 期限付きだと思います。


さて、何も知らずに、リタイアメントファンドからお金を引き出してしまった場合、一つだけやり直せる方法があります。 60日以内に、Roll-overをすることです。 引き出してしまったお金は20%税金が引かれていますので、その引かれた分をどこからか調達して、もともとあったリタイアメントファンドの金額と同じにして、IRAにRoll overします。 20%引かれた分が調達できなかった場合は、その20%に税金がかかります。


ともかく、55歳半以下のあなたが、リタイアメントファンドからお金を引き出したい時は、Tax Advisorに一言相談してください。

ただし、もし、あなたがRoth IRAを持っていて、そこから引き出したい場合は、元金までは、無税で引き出せます。 IRAについては、また別途にて。